NZにある老舗の月刊情報誌「Gekkan NZ」によるHayleyのインタビュー記事。2007年6月号。
![]()
![]()
旅の途上
-彼女が選んだ道新アルバム「Treasure」をリリースしたヘイリー・ウエステンラ。ロンドンを拠点にしながら世界各地を飛びまわる彼女だが、アンザックデーの式典に合わせて一時帰国。そんな多忙な彼女に、現在の心境と音楽に対する情熱を語ってもらった。
旅をすること音楽を作ること
市内のとあるホテルのロビーに現れたへイリー・ウェステンラ。ニューヨークで購入したというふわりとしたトップスに細身の黒いパンツを合わせたファッションが、彼女の細くきゃしゃなスタイルを強調している。ロンドンに音楽活動の拠点を置き、アメリカやオーストラリアなど世界各地を飛び回る彼女は、この国に来る前は日本を訪れていたという。その細身の体からは、そんなハードなスケジュールをこなせるとはとても想像できない。
「仕事であちこち移動することも海外で生活することも、音楽活動のための生活スタイルなの」。
そう明るく話す彼女からは、フェミニンな雰囲気を漂わせながらも精神的な強さが感じられる。国外を旅行したことがない友人に対しては、その良さを語り、海外に出ることを勧めるのだという彼女。
「母国を離れて旅をすることって、自分の人生においてプラスになることよ。海外に出ることで、自分の視野が広がって偏見がなくなる。そして、故郷の良さに気付くことができるの」と。
その言葉通り、ニューアルバム『Treasure』は、世界の音楽のさまざまな要素を取り入れ、彼女の経験がぎっしりと詰まった1枚だ。この作品で、へイリーは自分の祖父母から安け継いだケルト音楽を敬い、さらに自分が旅行したアメリカや日本、イングランドなどでの経験を盛り込んでオリジナルの尚も歌いあげている。
「古い音楽を大切に受け継いで、同時に新しい音楽を作り上げていくこと。そうすることでこれから先が広がってくるのよ」。
ケル卜伝統の音楽は、旋律を幾度もリフレインし連続性や永久性を感じさせる。それはまた、ケルト模様が渦を巻くのと同じ。そして彼女の音楽もまた、その伝統に重ね合わせられ、永遠の発展を示唆するかのようだ。
才能を活かした音楽活動
国内の音楽関係者の多くは、彼女について、「明らかに、ほかのニュージーランド人アーティストたちとは違う”大物”アーティスト」だとコメントする。それは音楽基盤の広さとファン層の厚さにある。さらにその理由を「音楽の才能、美しさ、そして”ヘイリーそのもの”」にあると話す。クライストチャーチで13歳の時にデビューしたひとりの少女は、’世界の人’となり、一つのブランドとして世界から評価されている。そのことを、彼女自身はしっかりと受け止めている。
「人が思うように華やかな世界じゃないし、楽しいことばかりじゃないわ。友人や家族と会える時聞は短いし、移動のために早朝や真夜中の飛行機に乗ることもしょっちゅう・・・。それは結構つらいことよ」と本音をもらす。しかしその一方で、「わたしは、忙しいからとか大変だからという理由でこのライフスタイルを変えたくないの。自分の才能を活かして音楽活動をできることが幸せだし、自分が選ぷことをポジティブに受け取っているわ」と語る。
”世界で一つのピュアボイス”、”天使の歌声”などと世界中から賞賛されるアーティスト、ヘイリー。彼女にとって、自らの才能を最大限に生かすため世界という舞台に飛び込む選択は当然のことだったのだろう。
「数カ月この国にいるのはいいかもしれないけれど、それ以上だとつまらなくなるかもしれないわ」と、彼女の視線はもう圏内たけにはとどまっていない。
ファンと自分の”ヘイリーサウンド”
「観客やファンの人たちが望むような作品を作ろうといつも努力しているの。自分だけが納得いくものを作った結果、ファンとの間に距離ができてしまうのはいやだから。みんながわたしに期待している、ピュアな”ヘイリーサウンド”を大切にしたい」。ファンと自分とをつなぐための”へイリーサウンド”。それは、作品やステージを通じて直接ファンに届けられる。そして、彼女はステージに立つことで音楽活動を続けるカを受け取るという。
「舞台で観客から伝わってくるエネルギーがあるから、わたしは音楽を続けられるの。みんながわたしの音楽を聞いて満足してくれることが一番の喜び」。
そう熱く話す彼女は、自分の中のあふれ出る潜在的な能力を感じ取り、その限りない可能性を信じて”音楽の道”に打ち込む。
「ほかのアーティストの作品を聞いて、すごいなと思うことがあるの。そう思う以上、自分の音楽性をまだまだ伸ばすべきだし、伸びる可能性があると思う。まだ誰も作ったことのないような曲を作曲できるチャンスがわたしにはある。それってすごくエキサティングだと思わない?」。
微笑みながらそう語るヘイリー。彼女の瞳には、人とは遣う生き方を受け入れた決心と、それに一人で立ち向かう強さが感じられる。その限りない旅の途上に、今彼女は立っている。
(敬称略)
Text:Takako Yamaguchi, Photos:Tobias Kraus
「母国を離れて旅をすることって、自分の人生に置いてプラスになることよ」
Hayley Westenra
1987年クライストチャーチ出身。アルバム「Pure」で世界デビューを果たして以来、ロンドンに拠点を置き世界各国で精力的に音楽活動を繰り広げる。9月にフランスで開催されるラグビーW杯では、ニュージーランド国歌を歌う予定。
目次より
世界で活躍するヘイリー・ウェステンラ。撮影中も、「あなたの音楽は最高よ。頑張ってね」と道行く人から声を掛けられ、優しく「ありがとう」と応える彼女。ファンを大切にする彼女の気持ちが直に伝わってきた。インタビューアによる編集後記
ヘイリー・ウェステンラのインタビューが行われた。ハードなスケジュールが続いていると聞いていたが、実際に見た彼女はそれをまったく感じさせなかった。高いプロ意識を見せ付けられた気がした。その横で、疲れ果てていたのがマネージャー。そのうつろな目に、スタート裏方との絶対的な違いを見た気がした。